黎明観(れいめいかん)

 北海道胆振管内伊達市は、太平洋に面していて、背後には有珠山、昭和新山を・・・更にその奥には洞爺湖が控えていて風光明媚でのどかな町です。
北海道の湘南と言われるほど温暖な気候に恵まれ、冬も暖かく農業が盛んで 「 伊達野菜 」 が有名です。
この辺りに転勤して来られた方々は、北海道の厳しい冬から逃れて退職後はここに住みたいと思われる方が多いようです。

 この度私用で伊達市に参りました折、道の駅に隣接する朱色の門塀に惹かれ行ってみました。
「黎明観」と言う建物で、中は藍染などの伝統技術を見たり体験したりする施設でした。

 ここで初めて刀鍛冶の製法を直に見学いたしました。
現在ではほぼ失われてしまった平安や鎌倉時代からの日本刀の日本古来の鋳造方法を、渡辺惟平さんとそのお弟子さんお二人によって伝統技術が受け継がれておりました。(古刀の作り方は限りなく再現不可能とのこと)
ちなみに渡辺さんのお父様はこの道の人間国宝とのことで、日本の素晴らしい伝統技術をしっかり伝えていくため、その製法は寸分たがわずお父様のものを受け継いで、お弟子さんにも全くそのままを指導されておられるそうです。

 でもそれだけではお父様を超えることができないので、お弟子さんの居られないところでは色々試行錯誤しながら研究されご自分を高める努力をなさっておられるようです。
 弟子にもいつか自分を超えてほしいと思うし、また自分より優れた弟子を育てることが自分の役目と思う。技術だけではなく師の思いも一緒に受け継いでいってほしい。そうしなくては文化は風化してしまう・・・と言っておられました。

 私達ペン字の世界も同じで、師範になりたての頃大先輩の先生から
「 まずは三上秋果先生(前会長)の端正で素晴らしい文字をマスターすること。それに留まっていては師を超えることはできない。更に臨書などをしっかり学んで自分の文字を確立するように努力が必要。」
と助言をいただいたことを思い出しました。
 前向きでしっかりした実力ある弟子を育てたいとは常に思いながら、まだまだ程遠いのは弟子のせいではなく自分の力と努力が足りないのだ・・・と反省。

 鉄作りに始まり・・・ふいごで火をおこしながら炉で熱し・・・槌でたたいて・・・折れにくくするため硬度の違う鋼を鍛接し・・・叩きながら伸ばしの繰り返し・・・・・気の遠くなるような行程、数キロもある重い槌を振り上げたり、真っ赤な炎の前で降りかかる火の粉を浴びながら・・・過酷で迫力ある刀剣製作に圧倒されました。

 日本刀にはほとんど興味のない私でしたが、「 鉄は熱いうちに打て 」の深い言葉を体感し、 伝統を受け継ぎ伝えていくという日本人の魂と心に触れ深い感銘を受けました。

 一方、伊達市は全国の藍生産量の三分の一を生産しているそうです。
ここではハンカチやTシャツ、手持ちの布製品を染める藍染体験もできるそうですが、その時間も無く、以前何度か経験がありますのでこれはパスして参りました。

                人工知能タンゴを