マガン飛来

 美唄市の宮島沼は、毎年春と秋にマガンやコハクチョウなどがやってきて、日本最大の渡りの中継地となっています。
ラムサール条約にも登録されていて、北海道でも貴重な場所です。
その昔は「大沼」と呼ばれていて、明治24年に宮島佐二郎さんが新潟から入植。このあたりの土地の払い下げを受けて開墾に着手。
しかし、石狩川の洪水や冷害、病害虫の被害などで壊滅的状況に陥り、ついに人手に渡ってしまいました。
宮島沼の名前だけが残されたのだそうです。

 マガンは現在、国の天然記念物に指定されていますが、古くは日本人に食されていたそうです。
明治に入り銃器により乱獲されるようになり、各地からマガンの姿が消えて絶滅寸前にまで追いやられました。
そこで1971年に国の天然記念物に指定され、狩猟が禁じられました。
現在では国内の越冬数は15万羽以上にもなりましたが、一方農業被害などの深刻な問題もおきており、人とマガンの共存への取り組みも課題となっています。


 マガンは夜明け前に飛び立って周辺の田んぼに向かい、落ち穂をついばんだり、あぜ草を食んだり、水を飲んだり・・・そして夕方になるとまた一斉に沼に戻ってきます。
この飛び立つことを「ねぐら立ち」、戻ってくることを「ねぐら入り」と言います。

 この秋もまた宮島沼にマガンたちがやってきて、今がピークとの二ユースが新聞やテレビで紹介されています。
何年か前に「ねぐら入り」を2度ほど見に行ったことがあります。
夕方、陽の落ちかかるころになると、まるで次から次へと空から湧き出てくるように、マガンの大群がV字編成隊を作って沼に戻ってきます。
まるで空のマジックショーを見ているような光景でした。

 
     宮島沼のマガンねぐら立ち   13.9.28 5時15分頃


 何年間もズーッと思いながらチャンスを逃していましたが、今年こそは絶対ねぐら立ちを見に行こう・・・と、お天気の良い日を狙っていました。
そしてついに今日、9月28日念願達成いたしました。
目覚ましをセットし4時に起床。 外気温は5℃。
まだ暗い中、冬用ジャンパーでしっかり防寒対策し、懐中電灯持参で出かけました。
途中の農道は、霜よけにモミ殻を燃やしている煙や霧などで視界の悪い所が・・・ 何か所か遭遇しましたが、早朝のため行き交う車の無いのが幸いでした。

 駐車場に車を止め外に出ると、暗い沼の方からマガンたちの鳴き声が聞こえてきました。
昼間は沼のふちまで行けるのですが、まだ暗く危険ということで少し手前のところの柵には、沼のふちに近づけないよう施錠がなされていました。
すでに20名ほどの方たちが来ておられ、カメラの三脚を据えたりしながらねぐら立ちの瞬間を狙っていました。
私も足元を照らしながら近づき、皆さんの仲間入りを。

 寒い中今か今かと待つ内、東の空が白み、かすかにオレンジ色に染まり始めました。
マガンたちの鳴き声も次第に騒がしくなり、時折5〜10羽の群が飛び立っていきます。
そして、鳴き声がひときわ大きくけたたましく聞こえたかと思いましたら、すごい羽音をたてて一斉に飛び立ちました。
迫力満点で圧倒され、構えていたカメラのシャターを切ることも忘れそうでした。
アッという間・・・まさに感動の瞬間でした。 
この感動はとても言葉では言い尽くせません。 暗い内からの早起きも、寒さも、この瞬間のためならば小さな努力・・・と思えました。

 この日のマガンの飛来数は4万羽とのこと。 どうやって数えたのだろう?


                       うたごえ祭典行楽の秋